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「…………」
部屋に居座って一時間程が経ったであろうか。
……暇になってきた。
従って、縁側から見える変わりもしない外の風景を見て、この暇を満喫する。
……相変わらず、背中で寄りかかっている壁越しから授業を受ける子供達の騒がしい声が聞こえる。
そして、それを注意する慧音の声もだ。
すると、こんな声があった。
「せんせー、質問がありまーす」
「ん?何かな?」
「さっき、ろうかを通った男の人はけーねせんせーの知り合いですかー?」
「…………」
とある男の子の質問だった。
「そうだな。知り合い……と言うよりは、親友だな」
「!!………」
「しんゆー?」
「“友達”と言う意味だよ。それに、彼は自警団の一人だからかな。尊敬もしてるよ」
「自警団……?!」
この言葉で、より一層子供達は騒がしくなった。
「そう。彼も人里のみんなの平和を守ってるんだ。御礼を言っとくんだよ」
「「「はーい」」」
彼女の言葉に声を揃えて返事をした。
「…………」
壁一枚隔てて聴こえた慧音の言葉。
――口元を緩めることはしなかった。
ただ、何故か、複雑な思いだった……。
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