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「それではひとまず、休憩を取ろう。その後、授業の続きをする」
慧音のその一言が言い終わった瞬間、ドタバタと足音を発てるのが、後ろの壁と横の廊下から聞こえた。
そしてその後に、寺子屋の庭で遊ぶ子供達の活気ある声も……。
元気イイな……、子供は。
授業が一時切り上げられてから五分程待つと、この部屋の襖が開いた。
「待たせてすまなかったな」
と、盆を持って慧音が入ってきた。
「……いや、別に。外の景色でも見て、暇を満喫してたよ」
「ふふ、そうか」
彼女は向かい側に座りつつ、盆に乗せてあるお茶を前に置いてくれた。
それを掴み、湯呑みの縁を唇に当てて、一口ゆっくりと飲む。
湯呑みを卓袱台の上に置き、自分の方から話を切り出した。
「……良い事言ってくれるじゃねぇか」
「え…?あっ、あぁ、聞こえてたのか?」
「……筒抜けだったぞ」
「恥ずかしいな」
慧音は、こそばゆくはにかみながら頬を掻いた。
「“親友”…か……。そう思ってたんだな」
「当たり前だろ。月に何回もこうして来てくれてるんだ。それに私の話し相手にもなってくれる。妹紅と同じ、“親友”の言葉以外見付からないよ」
妹紅(モコウ)…何度か話題で出てくる人の名だ。
……その話を聞く限りでは、かなり親友であるみたいだ。
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