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筒の中身は一片の紙だった。
『ヒトザト、ナントウ、シュウゴウスベシ』
――と、筆で書かれていた。
……南東、か……。
正門から行った方が早いな…。
早速、目的地へ向かう。
――歩いて。
この大通を通って、正門に抜けた時……。
「あ、時雨さん」
「ん……?」
正門傍で座り込んでいる一人の青年に、名前込みで呼び止められた。
「何か、何人か召集されてるみたいですね」
「……ちょっと待て……当然のように話してくるけど、お前誰だ…?」
「あっ……、すいません。俺、先日自警団に入りました新羅 舜治(シラギ シュンジ)です」
彼――新羅 舜治は立ち上がり、自己紹介を兼ねて挨拶した。
……後輩って訳か……。
「時雨さんの事、色々聞いています」
「色々……?どんな事を聞いた…?」
「結構実績積まれている人と……睨まれるような事言いました……?」
「は……?」
「目ェ、鋭いですよ」
「…あぁ…、悪い……」
何時の間にやら、新羅を睨んでいたようだ。
どうやら新羅が言ったとある言葉に反応した為に、ついそんな表情をしたのだろう。
「……?」
彼が不思議そうな顔を浮かべたのは、無理は無いだろう。
――何故、そうしたのか、理由が分からないからな……。
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