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「テメェ…俺に喧嘩売ってんのか…?!」
眉間に皺を寄せ、物凄い剣幕の顔で迫り、胸元を掴み上げてきた。
それに眉一つ動かさず、しかも目は見下すように細めていた。
「……最初に喧嘩売ってきたのはお前の方だろ、清野」
売り言葉に買い言葉。
「……どうやらその口、二度と使えなくして欲しいみたいだなぁ、時雨……!」
「オイっ!二人共止めないか!!今、そんな事してる場合ではないだろ!!」
――目線の火花散らす一触即発のこの状況を、北上さんが声で収める。
「……チッ…」
清野は胸元を突き放し、腐れ仲間の所へと歩いていった。
その間終始、コチラを振り向けては睨んでいた。
「…………」
そんな彼を遠目同然に見ていると、北上さんの口から「はぁ~……」と呆れ果てた溜め息が聴こえた。
その理由は分かる。
――だから、すぐに言葉を発した。
「……すみません、北上さん……」
「全くだ…。内輪揉めしているような状況下じゃないだろうが。
まぁいい、それよりも……」
と話しては、歩き出す。
「付いて来い」とは一言も発していないが、この場にただ突っ立って後々何か言われるのは気分が悪くなるので、自発的に彼の後を追う。
「――コイツを見てみろ」
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