第1章 怪異な死体

38/72
前へ
/200ページ
次へ
北上さんが示した視線の先には、男性が横たわってた。 既に息絶えていた。 ――しかしこの男性、容姿が不可解だ。 人間なのに……半分は。 もう半分は異形――妖怪染みた姿に成り変わっていた。 「…コイツは……また、ですか…」 「あぁ…、コレでもう11件目だ…」 コレが、“ここ最近起きている不可解な事”だ。 この男性は11件目の被害者。 そう……『11人目の行方不明者』とも言えば良いだろう……。 悩みの種とばかりに、北上さんは頭を抱え、そんな悩みを振り払うように左右に振った。 「……で、身元は…?」 そう言うと、横から北上さんと同じ、先輩の一人が教えてくれた。 「野々村 蓬。人里で独り暮らししてる人だ」 「……今回も、か……」 事の始まりは、10日前。 門の近くに倒れてた男性を、その日警備に割り当てられていた自警団員が発見した。 全く以て、このような姿で……。 身元を割ってみると、村の青年だったらしい。 それが8件目まで続いた。 中には一部しか妖怪化に変わってない人もいた。 そして、9件目――今度は身元が此処人里の住人へと変わったのだ。 10件目もそうだ。 家業を営む、ごく普通の女性。 彼女も半分、気味の悪い異形の姿で帰ってきた。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加