第1章 怪異な死体

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彼らに共通することは“突然消えては、妖怪の成りして現れる”。 発見場所は違えど、この共通点は同じ。 そしてもう一つの共通点は、息が途絶えた状態でだ。 「…………」 手を合わせ、弔いの意をこの男性に向けた。 「弔い中、悪いが月見里。ホトケが失踪直後に何があったか、調べてきてくれないか?」 北上さんが申し訳なさそうな表情を浮かべ、言い寄って来たのであった。 これに対する言葉を、やや難しい表情で言い返した。 「……彼が行方不明になった時、一回調べたんだろ……?無意味に終わると思うが……」 「………そうだよな」 「――でも……可能な限りで、やりますよ」 端っから不可能な事では無い。 僅かな情報でも解決の糸口へと成る。 その僅かな情報を集める事は可能だろう。 ……この人の無念も晴らす為にも。 「そうか。なら、頼んだぞ」 明るい表情に戻り、微笑み浮かばせ、肩を叩いた。 「……あぁ」 その返事に北上さんも頷き、今度は背中を叩く。 「っ…、強いっての」 「はは、悪い」 「…………」 笑う彼に、愛想尽かしたように鼻で溜め息一つ。 「……それじゃあ、調べてきますよ」 そう一声掛けてから人里に戻る。 正門を通り抜ける時、此処の警備に割り当てられていた新人の新羅の姿が見えなかった。 休憩でもしてるのか……? 別に気にも留めず、そのまま人里へと入った。
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