第1章 怪異な死体

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―――――――――――――― 今、とある家の前に来ている。 「……ココか」 表札には『野々村』と書かれている。 此処は行方不明者―失踪者―被害者となった野々村 蓬の自宅である。 ここまで足を運んだのには理由(ワケ)がある。 失踪する何かしろの証拠(情報)を探しに来た……それだけだ。 普通なら聞き込みの方が順序的には正しいだろうが……。 ――証言に矛盾が起こり、翻弄される可能性が高い為、ある程度家宅捜索して証拠を手にした方が随分と楽だ。 なので先に彼の自宅を調べて、その後に知人から情報得る。 ――と云う順序で行う。 「……さてと」 野々村宅の戸口を開ける。 「あ、あの……自警団の御方でしょうか…?」 「ん……?」 若々しい声が聞こえ、後ろを振り返ると、若い女性が不安げな面持ちで立っていた。 ……知人なのであろうか……。 ――取り敢えず、礼儀として質問に答えなければ…。 「あぁそうだが……。どちら様で……?」 「えっと…、私は蓬さんの彼女です」 「彼女さん……ですか…」 自分の正体を告げたにも関わらず、彼女さんはまだ不安げな表情。 「何か御用で……?」 そう問えば、彼女は少し答えるのを戸惑い、そして益々表情は曇る。 しかし、意を決して彼女はこう話した。
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