第1章 怪異な死体

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「あの……、蓬くん――彼、見付かったんですか……?!」 ――単刀直入の質問であった。 これは、どう答えれば良いか……迷うな……。 「…………」 傷付かないように返す言葉を迷っている間の沈黙。 それが更に彼女の不安を煽った。 「……あの、もしかして……まだ見付かっては…?」 「あっ……いや……」 このまま言わずに黙るのは悪いな……。 息を吐き、一旦間を置いてから彼の行方を――その安否を告げる。 「……見付かりましたよ。人里から少し離れた南東で……」 「本当……?!」 この言葉を聞いて、疑問を持たずに、急速に表情が明るくなった。 「――ただ……」 「……“ただ”……?」 ――しかし、次に出た言葉を聞いてその顔が曇り出す。 目の前に居る男の表情で察したから……。 言葉の意味を理解したから……。 「――息はもう……」 「!……そ…そんな……!」 最後まで言い終わる前に彼女は息を飲み、目を見張り、そして泣き出し、泣き崩れた。 「…………」 啜り泣く声が、心を締め付け、痛めつける。 「うぅっ……ひくっ……」 「…………」 何もする事が出来ない。 言葉を掛けることさえも……。 こういう時ってのは、人間(ヒト)は無力なんだと改めて痛感する。
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