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――――――――――――――
数時間後の事……。
「…………」
酒場で一人、受付台側に座って酒を呑んでいた。
難しい顔をしていた、と思う。
そんな些細な事に気付かなかったのは、思考が駆け巡っていた所為だろう。
「よぉ、月見里。昼間っから酒呑んでるのかよ」
騒がしい店内の中を、明らかに自分名指しの声が透き通って聴こえた。
後ろを振り返ってみると北上さんが口元緩ませ、軽い挨拶代わりの手を挙げて立っていた。
そして、空いていた隣の席に座った。
「別に良いだろ……。此処に来てるヤツらだって、そうなんだから……」
「ははっ、そう言えばそうだったな。此処に居る奴らは酒好きで、話し好きだからな。あ、俺はイイ。水だけで結構」
北上さんは徳利を持って置きに来た店員に注文する。
店員は頷き、徳利を下げて水を取りに行った。
「……俺は別に、話し好きないけどな……」
「はぁ~…嘘吐くなって、話し好きだったクセに…。何時からそうなっちまっただよ?」
「…………」
この質問に対して、話したくは無い……。
理由は一部の自警団員(仲間)は知っている―大半は知らないが……―北上さんだって例外では無い筈だ……。
だから、押し黙り通した。
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