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「……はぁ、まぁいい。
で、どうだったんだ?情報は」
北上さんはこれ以上の質問は止め、話題を変える。
一度、彼に視線は合わせてから元に戻し、酒を一口呑んでから話した。
「……何か得たような表情(カオ)に見えるか?」
「……見えないな。やっぱ、今回も情報は無し、か」
「…………」
そもそも失踪する理由なんてありません……!!
野々村 蓬の彼女さんが口にした言葉が、頭に蘇る。
目の周りを赤く染めて、彼女はそう訴えた。
確かに……、彼の自宅には失踪に繋がるモノは一切無い。
生活は絶望的に貧しい…とかでも無い。
何より失踪するような、そういった様子は見られなかった。
――と、彼女は言っていた。
なら……、どうして……?
――一つの疑問が生まれた。
その疑問を隣の人にぶつけてみる。
「……北上さん。今起こっている連続的な失踪と“半妖怪化の死体”……。関連性ってあるんでしょうか……?」
「あぁ?」
唐突に振られたからであろう――先輩は唸りを出しながら考え、答えを返した。
「――そりゃあ、失踪した人間がああいった姿で帰ってくんだから、関連性はあるとが思うが……深くまで考えた事は無いな。いや、仮に関連性があったとしても、それはただ放置された死体に妖気が集まり、妖怪化した……って言うのがオチだ」
「……でも、それなら何故、死体は“半妖怪化”なんだ……?」
「だよな。それが一番引っ掛かる点だな……」
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