第1章 怪異な死体

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「……はぁ、まぁいい。 で、どうだったんだ?情報は」 北上さんはこれ以上の質問は止め、話題を変える。 一度、彼に視線は合わせてから元に戻し、酒を一口呑んでから話した。 「……何か得たような表情(カオ)に見えるか?」 「……見えないな。やっぱ、今回も情報は無し、か」 「…………」 そもそも失踪する理由なんてありません……!! 野々村 蓬の彼女さんが口にした言葉が、頭に蘇る。 目の周りを赤く染めて、彼女はそう訴えた。 確かに……、彼の自宅には失踪に繋がるモノは一切無い。 生活は絶望的に貧しい…とかでも無い。 何より失踪するような、そういった様子は見られなかった。 ――と、彼女は言っていた。 なら……、どうして……? ――一つの疑問が生まれた。 その疑問を隣の人にぶつけてみる。 「……北上さん。今起こっている連続的な失踪と“半妖怪化の死体”……。関連性ってあるんでしょうか……?」 「あぁ?」 唐突に振られたからであろう――先輩は唸りを出しながら考え、答えを返した。 「――そりゃあ、失踪した人間がああいった姿で帰ってくんだから、関連性はあるとが思うが……深くまで考えた事は無いな。いや、仮に関連性があったとしても、それはただ放置された死体に妖気が集まり、妖怪化した……って言うのがオチだ」 「……でも、それなら何故、死体は“半妖怪化”なんだ……?」 「だよな。それが一番引っ掛かる点だな……」
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