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暫く二人の間に、沈黙が流れた。
その中で、考えた――関連性を。
必ず関連性はある筈だ。
――でなければ、“半妖怪化”の説明はつかない。
……が、分からない……。
情報が無さ過ぎる為だ。
「あ゛~っ!さっっぱり分からん!」
北上さんが声を荒げながら頭を掻き毟る。
彼もこの最大の難問に、頭を痛めたようだ。
無理もない、己だって考えただけで頭が痛い。
「兎に角、そういう事に関しても地道に調べ上げていくしかないな」
と、言い終えてから水を一口飲んだ。
「……あぁ」
言葉はここで尽きた。
聞こえるのは、座敷席からの酒豪らの喧騒と食器類がぶつかり合う音。
「……まさか、これを聞くためだけに俺の所に来たんですか、北上さん……?」
何かそんな感じがし、本人に訊いてみた。
北上さんは「ん?」と声を出し、最後の水を飲み干し答えた。
「そのまさかさ」
「…………」
“まさか”の答えを聞き、唖然に呆然。
彼に焦点を合わせたまま、人形のように見続けていた。
暫くしてから猪口の酒を一気に呷った。
それを見てなのか、隣の人は笑ってけう言い放った。
「はは、冗談さ。実は仕事の話があって、それを伝えに此処まで来たのさ」
「仕事……?」
自警団としての仕事だとは、すぐに分かった。
はて……、一体どんな仕事だろうか……?
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