第1章 怪異な死体

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―――――――――――――― 「時雨さん、お久し振りです」 「……あぁ」 この屋敷の使用人に案内されたのは客間。 そして、目の前には着物姿で愛嬌のある少女が先に挨拶をした。 彼女が稗田 阿求(ヒエダ アキュウ)である。 「紅茶でもお飲みになりますか?」 「…………。折角だ…頂いてこう」 「はい、少しお待ち下さい。今、淹れてきますので」 彼女はそう言い、トテトテと走るかのように台所へと向かっていった。 「…………」 戻ってくるまでの間、俺は考えに耽ていた。 ――怪異の死体、誘拐(?)との関連性について。 誰が人間を誘拐して、あんな風にしたのだろうか……? 死体の半妖怪化……、とすると誘拐したのは妖怪か……? なら何故……? ――仲間を増やす為……? いや、その線は薄い。 何故なら、妖怪達にはわざわざそうする理由も無いからだ。 これで犯人が妖怪と言う仮説は消えた。 「………!!」 ……もしかすると“アイツ”か……!? 一瞬閃いたが、冷静になり、もう一度考えると、この線も消えた。 一体誰が……?! 慧音が糸口を導いてくれたにも拘わらず、結局分からず終い、行き詰まり。 「…………」 考え過ぎた為に、また頭痛を覚え、小さく唸ってしまった。
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