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――結局、彼女を手伝う事となった。
二人で集め積め上げたお陰で、その作業は早めに終わった。
「すみません……」
申し訳なさそうな表情を浮かべ、礼儀正しく頭を下げた。
「……いや、気にすんな。俺も無下に…、遠慮しようとして悪かった……。こうなった後に言うのはアレだけどな……」
表面的には涼しい顔をしているが、心髄は彼女と同じく反省の意がある。
「いや、私が無理に取ったから……」
「……。だから気にするなよ」
強情なのか、生真面目なのか……何と言えば良いのか分からず、同じことはまた口にした。
そして、慰めの言葉を……。
「……幸いにも、資料に損傷は無いみたいだ。それはそれで良かったじゃねぇか」
「はい…」
本当に損傷は無いか――積まれた資料を持ちながら確認する。
「ま……やっぱ…、一人じゃツラいから手伝ってもらおうかな」
随分と反省の色を深めている阿求さんの顔を見て、気が変わった。
「え?」
先程までの顔から一変――彼女はキョトンとした顔になった。
「……手伝いたくないのか?」
素っ気ながらも、もう一度訊ねる。
「えっ!?あっ!はい!手伝います」
少し慌てた様子で返事を返し、屋敷にある残りの資料の山を取りに行った。
「…………」
……持ったまま待つのか……、ツラいな。
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