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しばらく待つと阿求さんが、此方も十五冊程積まれた資料の山を持って来た。
果たして、その小さな身体にそんな力があるのか……コレも不思議な事であろう。
そして今、この資料の山を寺子屋に届ける為に、並んで歩いている。
擦れ違う人達は、驚くように一旦止まってはその異様な光景に目を見張る。
――……そりゃそうだ、数冊本を運ぶとは訳が違うのだから……。
「……目立つな」
「そうですね。でも、仕方ないですよ」
「……そうだな…」
彼女の言う通り、仕方のない事だ。
何せコレは手伝いでやっている事であり、途中で投げ出すことなんては出来ない。
「…………」
「…………」
さて、話す話題が無くなった。
――いや、本音を言えば腕の負担がのし掛かり継続状態の為、限界を向かい始めており、話す程の余裕は無かった。
「あの、時雨さん。一つお伺いしたい事が……」
「……ん?何だ…?」
しかし、彼女は余裕なのか、それとも二人の間に流れてた沈黙がもどかしかっただけなのか……、阿求さんが話し始めた。
「最近、不可思議な事件が起きているみたいですね」
「………。……やっぱ阿求さんの耳にも入ってたか…」
「はい」
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