第1章 怪異な死体

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彼女は一呼吸、間を置いてから続きを話した。 「解決…しそうですか?」 「……いや、これと言った情報が無いからな……。解決は、難しい……」 「そうですか……」 積まれた資料が陰となってあまり見えなかったが、チラリと見えた阿求さんの表情は不安一色だった。 当然だろう……此処に住んでいる者にとって。 それを見かねてか、もしくは無意識か―後者が強いと思う―この言葉から切り出した。 「――……ただ……」 「『ただ』?」 「少しは糸口が見え始めてはきた……」 「え…?」 その声と共に、彼女の足が止まる。 釣られて足が止まった。 「まぁ、それでもまだ難しい方だけどな…」 「でも、それでも良かったじゃないですか!」 まるで自分の事のように、確かに喜び表情を明るくした。 「……ま、俺じゃなくて慧音の御陰だけどな」 「慧音さんが?」 「あぁ……。彼女の閃きでな……流石、人里の皆を第一に想う人だ」 ……到底…、適わないな……。 「それでも、それを解決するのが時雨さんの仕事ですよ」 「……。そうだな……解決出来るよう、努めるよ」 ちょっとだけ……笑ってみせて、二人は再び歩き出した。 それから十分も掛からない内に、寺子屋に着いた。
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