Ⅰ

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和成は冗談めかしていったが、恵美は小さく 「本当に……大好きです」 と小さく言ってやった。 「なんだか、そんなに素直だとからかいがいがねえなあ」 「そんなことっ。いつもは、先輩が意地悪してくるからいけないんじゃないですかあ」 「そうだっけー?」 とぼけるように頭をかきながら、2人はすっかり暗くなった道を歩いていく。 街灯から漏れる光に照らされて、和成の瞳はまるで濡れているように見えた。 「でも、家に着いてからも、その素直さが続くかなー」 「え……どういう意味ですか」 「なんだよー、言わせたいの?」 「い、いえっ。やっぱり良いです!」 「言ってやろうか?」 「ダメですって。こんなところで!」 「こんなところで言えないようなこと、考えてたわけ?」 「そういうわけじゃなくて!あー、もう!意地悪ばっかり!」
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