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じれったくなるほど、ゆっくり。
彼の体が距離を縮めてくる。
フワリと腰に添えられた指が、熱くて。
恵美の体に、柔らかい電流が走った。
もどかしくて。
逆さに見える和成を、正面から見たくて。
首をひねって体勢を戻そうとした恵美を、彼が無言で止める。
「先輩……?」
真上にやってきた彼が、笑いながら恵美を見下ろして。
油断すれば溶けてしまうんじゃないかと思うほど、優しい声を漏らした。
「そろそろ……『先輩』っていうの、やめろよ」
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