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「先輩は、先輩……じゃないですか」
呼吸がしにくいのは、きっと。
体勢が辛いから、ばかりが理由じゃない。
心の奥底まで見透かされてしまうような和成の瞳が、まっすぐにこちらを向いているから、だ。
「……名前」
「え?」
低い声を聞き漏らさないように必死なのに。
彼の指がシャツの裾から潜り込んで、肌を這い回るものだから、意識が吹っ飛びそうになる。
触れるか触れないかというほどの優しい刺激なのに。
だからこそ、余計に気になってしょうがなくて。
「『和成』って、呼んでみ」
胸が締め付けられて、泣きたいような気持ちにさせられる。
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