Ⅱ

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いつもみたいに強気な言い方じゃないのが、ズルい。 こんな時ばかり、これ以上ないほど甘く囁いて。 麻痺させていく。 怪しい毒みたいに。 知らぬ間に、するりと入り込んで。 体中に溶けてしまう。 気がついた時には、もう手遅れ。 「か……ずな……」 「なに?聞こえない」 意地悪をされていると分かっていても。 もう、止められない。 「ほら。はっきり……言って」
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