Ⅱ

12/26
前へ
/632ページ
次へ
もう、耐えられなくて。 我慢できなくて。 「……かずなり」 それでも、小さな声で言うのが精一杯だった。 言葉までもが恥じらっているように、喉を熱く焦がしていく。 「よく出来ました」 目を細めた彼の笑顔を見てなんかいられなくて、慌てて目を閉じたのと、ほとんど同時に。 唇が、優しく塞がれた。 「ん……」 期待とは裏腹に、すぐに離された唇の端から、気の抜けたような声が漏れる。 チリチリと喉が焼けるのを感じながら、うっすらと目を開いた先で、和成はやっぱり笑っていた。 「顔、真っ赤」
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3302人が本棚に入れています
本棚に追加