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「やっ……」
抗議する間なんて、与えられなくて。
再び塞がれた唇は、甘くて。
ズルズルと崩れ落ちそうになる体を、和成がきつく抱き上げるのを感じた。
何度も何度も深く口づけられて、頭が真っ白になってしまう。
後ろから抱きかかえられているせいで、彼の手は自由に恵美の肌の上を滑るくせに、彼女は和成の体に触れることができなくて。
不安げに宙をさ迷ってから、やがて力なく膝に落下した。
「……恵美?」
どのくらいの時間が経ったのか分からない。
ようやく唇が離された時には、もう、溶け合っていることの方が自然とさえ思い始めていたから。
寂しささえ感じてしまって。
急いで身をよじると、恵美は自分から和成の胸へと顔をうずめた。
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