Ⅱ

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「だから」 和成の指を、やっとのことで押しのけると、彼は続けた。 「俺の前から消えんなよ」 『好きな人が出来たら、世界が輝いて見えるようになった』なんて、嘘ばっかりだと思っていたけれど。 本当だったんだ。 「聞いてる?」 「は……はい!」 彼の胸にすがるように体を預けて、体温を感じていると、目に見えるもの全ての色が変わってしまったように見えた。 どれもこれも、見慣れたものばかりのはずなのに、色鮮やかで、綺麗で。 「和成……先輩っ」 「だーかーら。『先輩』は余計だっつーの」 新しい感情が、体の奥底から次々に湧き上がってくるのを、感じていた。
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