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「ですよねっ」
彼の胸に頬を押し付ける恵美の頭を、彼は優しく撫でた。
「それに、こんなことまで出来るようになったんだから……それだけでも大進歩だ」
「え?」
顔を上げれば、得意気に目を細める彼の顔。
長い睫毛がクルリとカールしているのに目を奪われながら、彼の言葉を待った。
「だってさ。ちょっと前までは、恵美が自分から抱きついてくるなんて、考えられなかったじゃん?
よくもまあ、積極的になったもんだ」
「そんな、こと……」
みるみる顔が赤くなる彼女の頬を、両手でがっしりと掴んで、彼が引き寄せる。
「『そんなこと』……ない?」
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