Ⅱ

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「ですよねっ」 彼の胸に頬を押し付ける恵美の頭を、彼は優しく撫でた。 「それに、こんなことまで出来るようになったんだから……それだけでも大進歩だ」 「え?」 顔を上げれば、得意気に目を細める彼の顔。 長い睫毛がクルリとカールしているのに目を奪われながら、彼の言葉を待った。 「だってさ。ちょっと前までは、恵美が自分から抱きついてくるなんて、考えられなかったじゃん? よくもまあ、積極的になったもんだ」 「そんな、こと……」 みるみる顔が赤くなる彼女の頬を、両手でがっしりと掴んで、彼が引き寄せる。 「『そんなこと』……ない?」
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