Ⅲ

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はたから見れば、イジメでも行われているんじゃないかと思われそうな光景。 三人に迫られて、恵美は半ば泣きべそをかきながら言った。 「なによっ。先輩みたいなこと、言わないでよね!せっかく今日は先輩も、ジュリさんもフミさんもいなくて、平和だったのに……」 反論しながらも、なんとかスルリとその輪を抜けようとしたのだったが。 思わぬ声に、体を強張らせることになってしまったのである。 「えー。逃げんの?俺も、聞きたーい」 可愛らしい、声。 しかし恵美にとっては、脅威でしかない声の主は、いつの間にやら彩と春香の間からひょっこり顔を出して、彼女を見ていた。
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