Ⅲ

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「まあまあ。いいじゃん。祝ってくれるみたいだしさ」 ニコニコしながら、彼は恵美を座るように促した。 「サプライズって……本人の前で言っちゃってるんだから、サプライズではない気もするけど。 でも、気持ちは伝わるし」 「……そうですよね」 クスッと笑って啓介の隣に腰掛けた彼女は、和成の背中を眺めながら言った。 「なんか嬉しい、です」 「そりゃあ、あれだけ張り切ってくれたらねえ」 彼も恵美の視線を追うように顔を上げて、 「なに話してるか気になるね」 「ですよね。やっぱり、ちょっと聞いてこようかなあ」 「いや、それは、また怒られるだけだと思うよ?」
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