Ⅲ

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「……え?」 落ち着いた声が出せているのか、彼女には分からなかった。 とにかく、顔を伏せることで表情を隠し、間を空けることで少しでも時間をかせぐことしか、できない。 「どういう……意味ですか?」 けれども、そんな小細工は啓介に通用しないらしかった。 「そのまんまの意味、だよ」 質問をしているはずなのに、もう確信しているような口調。 それに恵美が動揺を隠せるはずもなかった。 「えーと……」 「まあ、恵美ちゃんとカズ見てれば分かるけどね。 2人とも分かりやすいから」 「そうですか……?」
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