Ⅲ

18/50
前へ
/632ページ
次へ
「なんだよー」 啓介が優しく、言う。 「なんでもないです」 「なに?気になるなあ」 「啓介先輩も教えてくれなかったから……仕返し、です」 おどけて言うと、彼はまいったというふうに、大きく両手をあげた。 「そうきたか。 そう言われちゃうと、もう、つっこめないなあ」 顔を見合わせて、クスクス笑い合う2人。 それが聞こえたのか、和成がチラリとこちらを見ているのが分かったけれど。 恵美があっと思って目をやると、彼はまた黙って里美たちの方へ顔を向けてしまった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加