Ⅲ

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「ご、ごめん」 啓介も急いで、ぶちまけられた氷を拾ってはグラスに入れ始めた。 しかし、まだ心が安定していないのは、彼の手つきを見れば一目瞭然だった。 なにしろ、氷をつまもうとする彼の指が、ツルツル滑って。 まだ数えるほどしか、拾えていないのである。 堪えなければならないと分かっていても、笑い声がこぼれてしまった恵美に、啓介はちょっぴり赤面していた。 「ごめんな。やっちまったあ」 本当にすまなそうに眉根を寄せる啓介に、彼女はなんとか笑いをかみ殺す。 「いえ、それはいいんですけど。 珍しいですね。啓介先輩、いつもしっかりしてるのに。 酔ってるんじゃないですかあ?」
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