Ⅲ

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「……そう」 それ以上追求しない啓介。 追いかけようともせず、早くも引き返す、恵美。 お互い、なにかしら分かり合ってしまっているのに。 敢えて言葉にせず、飲み込んでしまうのは……怖かった、から。 しかし、引きこもったままの恵美が、啓介はどうにも気に掛かるようだった。 「カズは……なんていってたの?話したんでしょ?」 「はい……。そんなこと、ないって。 あ、あの……私がジュリさんと初めて会った日、いきなり和成先輩にキスしたじゃないですか。 あのことだろうって、言ってました」 「そっか」
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