Ⅲ

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「あ、いや……」 と慌てて彼は手を振って、吹っ飛びそうになる恵美の意識を引き戻す。 それから、辺りを窺うように見回して 「まだ俺が2年の時にさ。フミさんの家で、飲み会したことがあったんだ。 俺とカズと、フミさん、ジュリさん……その他にも、何人かいたんだけど。 結局、夜中まで残ってたのは、その4人でさ。 で、途中で、フミさんと俺が買出しかなんかに行って、帰って来たとき……」 辺りは、うるさいくらいに賑やかなのに。 恵美はまるでホラー映画でも見ている時のように、背筋がゾクゾクして止まらなかった。 今にも幽霊やらエイリアンやらが飛び出してくる場面でも見ている気分になりながら、啓介の話に飲み込まれていく。 「フミさんが、ドアを開けようとして、急にやめたんだよね。 で、なぜか慎重に……細く、開けるわけ」
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