Ⅲ

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それは、素直に彼女が感じたままを言葉にしたものだった。 ところが啓介の返事は思いがけず、鼻で笑ったような、かすれた嘆息だけで。 恵美は面食らって、急いで自分の言葉を頭の中で反復しなければならなかった。 何か、とんでもない失言でもしたのかと不安だったのである。 しかし啓介は、そんな恵美に気がつくと、誤解をとくように首を振った。 「あ、ごめん。 今のは……べつに、恵美ちゃんをバカにして笑ったわけじゃないんだ。 ただ……」 と言いかけて、また少し笑ってから、彼は続けた。 「たださ。 恵美ちゃんらしい考え方だなあって、思って」
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