Ⅲ

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「か、和成先輩……」 しかし彼のほうは大して気にならない様子で 「お。だいぶ、その呼び方に慣れてきたじゃん。 次は、『先輩』抜きだな」 と、いつもの調子で笑いながらも、急かすように彼女の腕に力を込めると 「立って」 他の人に聞こえないほど低い声で言った。 「え?」 突然の言葉に、聞き返すのがやっとで、すぐに行動に移せない。 そんな恵美を苛立たしげに見下ろしながら、和成は繰り返した。 「いいから。立て」
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