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「か、和成先輩……」
しかし彼のほうは大して気にならない様子で
「お。だいぶ、その呼び方に慣れてきたじゃん。
次は、『先輩』抜きだな」
と、いつもの調子で笑いながらも、急かすように彼女の腕に力を込めると
「立って」
他の人に聞こえないほど低い声で言った。
「え?」
突然の言葉に、聞き返すのがやっとで、すぐに行動に移せない。
そんな恵美を苛立たしげに見下ろしながら、和成は繰り返した。
「いいから。立て」
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