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「脱出って……」
恵美がクスクス笑うのにも構わずに、和成は彼女を引いていく。
それから、近くにいた男性に、なにやら耳打ちして
「よし、行くぞ」
さっさと店を出て行ってしまったのである。
もちろん恵美も、大人しくその後について行ったのだが……。
「さ。どこに行くか」
という彼の言葉に、彼女は思わず耳を疑った。
「……何にも考えてなかったんですか?」
恨みがましい目つきで見ると、和成も頭をかいて
「あー、まあ……」
と言葉を濁していたが、急に彼女に向き直ると、声を大にして言った。
「俺んちでも良いけど?
でもさ、いつもそんなことばっかり言ってると、お前が嫌がるかなって……。
気をつかってやったんだよっ」
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