Ⅲ

41/50
前へ
/632ページ
次へ
「気を、つかって……くれたんですか?」 目をパチパチッとさせて恵美が言うと、和成は決まり悪そうな顔になって 「悪いか?」 手を腰に当てると、ふんぞり返った。 「悪くはないですけど……」 恵美は、ふふっと小さく笑うのを止めることが出来なかった。 なんだか…… 「先輩らしくないなあって、思って」 「俺らしいってなんだよ」 今日にかぎって、睨みつけられても怖くなんかなかった。 むしろ、意地を張っている様子が、可愛らしくさえ見えて。 愛おしい。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加