3303人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫌だ」
それは、当然、予想できた彼の言葉。
しかし今日の恵美は、いつになく強気だった。
「えー、いいじゃないですかあ。
行きたいところを聞いてきたのは、先輩の方なんだし」
と、食い下がる。
が、彼女の声が高くなればなるほど、和成の声は低さを増す一方で。
「俺、猫が好きなわけじゃないんだけど……」
などとブツクサ言ったまま、動こうともしなくなってしまった。
「せんぱーい」
まるで餌をねだる猫のように身をすり寄せてみても、無反応。
そっぽを向いて、固まっていた。
最初のコメントを投稿しよう!