Ⅲ

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そんな和成の様子を見ていれば、恵美も諦めざるを得なかった。 「やっぱり、イメージとかけ離れたようなこと、してくれるはずない、か」 幾分残念そうに口の中で言ってみたものの、猫と戯れて笑う和成が想像できなかったのも事実だったから。 「じゃあ、どこ行きますかあ? 今度は先輩が決めてくださいよー」 と、皮肉でもなんでもなく、素直に言ったつもりだったのだが。 彼にとっては、そうは聞こえなかったらしい。 「そんなにスネなくてもいいだろー」 なんて、よっぽど自分のほうがスネたような口調で言って、彼女を見下ろしてくる。
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