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「別に、スネてなんかいませんよ」
笑ってみせたのは、建て前なんかじゃなかった。
しかし、妙なところで頑固さを見せてきた和成は
「また、そんな顔して」
と、情けないような顔になって、猫のイラストが描かれた看板を、しばらく見上げていた。
その瞳がやけに真剣で。
そんなに猫が嫌いなのかと思わせる一方で、もしかしたら入ってくれるのかもしれないという期待を、恵美に抱かせる。
が、そこはやはり和成。
彼は、期待を裏切ってくれる男なのだと言うことを、彼女はすっかり忘れていた。
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