Ⅲ

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「本当ですかあっ?」 「本当だよ。そんなの、わざわざつくような嘘でもないだろ」 眉根にシワを寄せて、いかにも渋々といった表情を浮かべる和成。 それでも、恵美は、まるで彼が満面の笑みを見せてくれているような嬉しさを感じていた。 面倒くさいとか、しょうがないとか、いつだって文句ばかりだけれど。 結局、いつも優しい。 恵美はもう、溢れてくる感情を抑えることができなかった。 足取りも軽く、知らず知らずのうちにスキップさえしそうになって、和成に笑われてしまって。 それでも、まだ足りなくて。 少しでも彼に気持ちが伝わればいい、と。 「和成……せーんぱいっ」 和成の太い指を握って、額を肩にすり寄せた。
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