Ⅲ

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「どした?」 恵美が転ばないように和成の腕にしがみつくと、和成が笑った。 「フラフラしてんぞ。酔ってんの?」 「ち、違いますよっ」 まだ、振動をやめない携帯電話に、心臓の動きが早くなる。 けれども。 「もうっ。早く行きましょー」 恵美は、点灯するライトが見えなくなるように携帯電話を押し込んでしまうと、振動を感じないようにと、早足になって歩き出した。 出ない方がいい気がして。 痛む良心を、押さえつけた。
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