Ⅳ

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「恵美ー」 「あれ?里美ちゃんに春香まで……どうしたの。珍しい」 今日最後の講義を受けた恵美は、机に突っ伏しながらも、やけにニヤニヤしている彩の隣で、手早く荷物をまとめているところだった。 なにしろ今日は、このあと大切な約束があったのだから。 それはもちろん、和成との約束であった。 というわけで、突然姿を見せた2人には悪かったが、一刻も早く大学を飛び出したい恵美だったのだが。 「恵美、お誕生日おめでとうっ」 「え……。あっ」 目の前に突き出された可愛らしいラッピングを目にした時、一瞬、和成との約束が頭から吹っ飛んでしまうほどの喜びに包まれたのだった。
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