Ⅳ

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「今日、佐藤先輩との約束でしょ? 急ぎたいのはわかるけどお。 一応、私達だって気合入れて選んだんだから、ちゃんと見てってよね」 おどけたように里美は言ったが、言われなくとも恵美の手は、早くもラッピングにかけられていた。 「ありがとうっ。うわあ……なんか、嬉しい!」 「喜ぶと思うよー。恵美もだけど……先輩も」 意味深な言葉を呟いた春香の声は、興奮気味の恵美には届いていなかった。 柔らかな包装紙をはずしていく彼女の手を、一同が熱い眼差しで見守る中。 現れたのは…… 「エプロン?」 恵美が目をパチパチっとさせた先で姿を見せたのは、可愛らしいフリルのついたピンク色のエプロンだった。
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