Ⅳ

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「みんなに食べさせてあげられるようになるまでは、何ヶ月……いや、何年かかるか分かんないよ!?」 恵美が赤くなったり青くなったりしながら言うと、春香は 「あんた……そんなに料理下手なの?」 と笑ったけれど。 「だって、みんなのお腹こわしたら大変だし」 真剣に悩む恵美。 が、その悩みに歯止めをかけるように彩は手を叩くと 「はいはい。それは、まあ……練習してもらうとして。 恵美。急がないと、約束の時間に間に合わないんじゃないのー?」 「あ!」 腕時計を確認して今度こそ顔を青くした恵美は、急いで鞄を鷲づかみにして 「じゃーね!!」 もう、振り返ることもせずに、教室を飛び出していったのだった。
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