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「そ、そうでした?」 しっかりと時刻を見たくせに、なんとか誤魔化そうと笑い声をあげる恵美。 けれども和成の笑顔は苦々しいもので 「バカか」 と言い放つなり、コツンと恵美の肩を小突いた。 「バカって言わないで下さい! 学校出るときは、間に合わないと思ったから、一生懸命走ってきたのに」 「で、頑張りすぎて、着いたのが15分前?」 「……そーです」 開き直った恵美は、半ばヤケクソになりながら言った。 「まだまだ、私も走れるほど若いってことですね」
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