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「かわいい……」
まるでぬいぐるみのようにフワフワとした柔らかな毛並みに目を細めて、手を動かす。
が、猫のほうは、ちょっと嫌そうにヒゲを動かしただけで、特に関心はないようだった。
「見てくださいよお。すっごい可愛いっ。
ふわっふわですよ」
恵美は手を引っ込めようともしないで、首だけ振り返って和成に呼びかけた。
ところが。
「えー、ちょっとくらい触ってみましょうよお」
和成は、いつの間にやら漫画本を手にして、しっかりと読み始めてしまっていたのである。
「こんだけ漫画が置いてあるんだから、読んでくださいってことだろー」
「そりゃあ、そうですけど。でも、ちょっとくらい触れ合いましょうよ」
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