Ⅳ

16/68
前へ
/632ページ
次へ
「いいんですか?」 「ココアちゃんは膝の上が大好きなので、大丈夫ですよ。 長い時間動かない時は、足がしびれてきちゃうんですけど」 と笑いを交えて説明しながら、女性はそっと黒猫を抱いた腕を伸ばした。 「そんなに重いんですか?」 ちょっぴり不安になりながらも、恵美はカーペットの上に足を伸ばして、和成の座るソファーにもたれるようにして座りなおした。 すると、すぐに膝の上に暖かい猫がやって来て。 「うわあ……」 恵美が感激の声を上げる間も無く、丸くなって目を閉じてしまった。 「……寝ちゃった」 「動かない時は、本当に30分とか1時間とか居座っちゃうので、困ったらまた呼んでくださいねえ」 女性はクスクス笑っていたが、また別の猫に話しかけながら歩いていった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加