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しかし、恵美が落胆して背中を見送るまでもなく、猫はピョンと跳ね上がると、ソファーの上に華麗に着地。
そして。
「なんだ、こいつ」
和成の不機嫌そうな声が聞こえたかと思えば、彼の膝の上で、もう寝る体勢を整えだしたココアちゃんが目に入ったのだった。
「あー、今度は先輩のほうに行っちゃった」
「こいつ……恵美のとこで寝てたやつ?」
「そうですよお。先輩、やっぱり嫌われてなんかないじゃないですかあ」
恵美はクスクス笑ったが、和成は戸惑ったように
「いや、猫が自分から近寄ってきたことなんかないぞ」
と言って、どうしたら良いのか分からぬ様子で目をパチパチさせている。
これには恵美も堪えきれずに、声を上げて笑ってしまった。
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