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結局。
和成の言葉通り、彼の膝が相当気に入ったらしいココアちゃんは、予想に反して、1時間以上動かなくて。
「……先輩、大丈夫ですか?」
「さすがに、こんだけ乗っけてると足痺れてくるわ。
まだ寝てんの?」
「多分?目をつぶったままですね」
「いつまで寝てんだ、こいつは」
恵美が猫の顔を覗き込んで確かめてみても、何の反応もない。
とうとう、見かねた店員の女性が声をかけるまで、和成から離れなかった。
「ココアちゃーん。お兄さん、もうそろそろ帰るんだって。
向こうで寝ようねー」
細い腕ながら、がっしりと猫を掴んで女性が持ち上げる。
すると黒猫は、名残惜しそうに和成のズボンに爪を立ててから、ようやく胸に抱えられて行ったのだった。
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