Ⅳ

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どうりで、いつもにも増して和成が自信たっぷりだったわけだ。 「そんな恥ずかしいタイトルの本、よく買うなあ。 ま、でも……それだけ俺に夢中ってことか?」 なんて、どっちが恥ずかしいんだか分からないような台詞を口にする和成だったが、恵美は反論しないわけにはいかなかった。 「こ、これは私が買ったんじゃなくて!里美ちゃんたちが誕生日プレゼントでくれたんですよ!」 「あ、そうなの?」 彼は思いがけずあっさりと言ったが、続けてとんでもないことを口にした。 「じゃあ、今日……俺の家で早速、練習しろよ」 「ええ……?」 「なんだ、その不満そうな顔は」 いかに冷たく突っ込まれても、恵美はどうしても承知したくはなかった。 「だって……本当に自信ないんですもん。 どうせ作るなら、家でしっかり練習して……それから、先輩の家で披露しますよお」
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