Ⅳ

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「はあ?大丈夫だって。さすがに、食えないことはないだろ。 失敗しても、ちゃんと食うしさ。 文句は言うだろうけど」 優しいんだか冷たいんだか分からない和成の言葉に、恵美の必死の抵抗は続く。 「ダメです!本当にダメですって!」 「なんでだよー。まさか、食中毒でも起すようなことにはならないだろ?」 「そんなの分かんないじゃないですかっ。先輩にもしものことがあったら困ります!」 「またまたあ。大丈夫だって。 な?これからスーパー寄って、家行こうぜ」 「ダメだって言ってるじゃないですかあ……」 もう恵美は、泣き出しそうな声になっていた。 「本当に、先輩は女の子なら誰でも料理上手とか思ってるかもしれないですけど! それは美化しすぎですからね!? お母さんに作ってもらってれば、料理なんてしないですしっ。 まともに作ったのは、家庭科の授業の時くらいなんですからあ……」
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