Ⅳ

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「ま、まだそんなこと言ってるんですか? 私、作れないって言ってるじゃないですかあ」 「本を見れば、出来ないことはないだろー」 「で、でも……」 「大丈夫だって。人間が食えないようなもの作り始めないように、俺がしっかり見張ってるから」 「そんなあ……」 つり銭を受け取った和成は、店を出ようと恵美の肩に触れながら、顔を寄せる。 そして、誰にも聞こえないほど低い声で囁いた。 「どーしても見たいんだって。恵美が料理してるとこ」 「な……」 「……可愛いだろうなあ」
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